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宇多田ヒカルアルバム感想&考察 「Distance」1/4

 

宇多田ヒカルがかわいい。とくにジャケット裏の宇多田ヒカル

 

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 「First Love」~「Distance」までは宇多田ヒカルの「女のコ感」がものすごく感じられます。その「女のコ」が宇多田ヒカル自身の投影なのか、宇多田ヒカルからみた女のコ像なのかはおいといて。

だから可愛かったりする。年上の人に恋して強がったり、自分の不安定な気持ちをいったん客観視して冷静に分析してみたり。だけど「あいしてほしい」という気持ちはいつも強く持っていて、結局振り回されちゃってる女のコ。

DEEP RIVER」、ULTRA BLUE」あたりから「世間・世界を俯瞰する」要素が強くなってくる彼女。でも、「First Love」~「Distance」までは、カッコよく英語使ったり、その垢ぬけた歌詞から一見大人びてるように見えますが、まだまだ軸は「自分」。

また、「First Love」の大反響を受けてから出されたこのアルバムは、特に「みんなの求めるヒッキー」を宇多田ヒカル自身が求めざるを得なかったのではないかなとも感じられます。

 

1.Wait&See~リスク~

この曲を初めて聴いたとき、「あ、天才だな」と脊髄反射で感じました。

こんな曲調聴いたことない、どこか変なのに、その「変さ」が気持ちいい…そして数々のフレーズが痛快に刻みつけられる。

私はこのアルバムに対して全体的に暗い印象をもっていて、「雨雲がたちこめている夜のイメージ」が半分、もう半分は「白くぼやけて何も見えない、夢か現かわからないイメージ」なのですが(でも君という名の虹がちょっと見えるから、それだけで生きている…みたいな)、この曲はどちらにも該当しないですね。

あんまり「君」の存在が見えてこない。「君への想い」じゃなく、宇多田ヒカル人生哲学(当時)のようなものが強く感じられる歌だと思います。

口ずさみたくなるような小気味いいフレーズで巧みに曲を構成しながら、しっかり言いたいことを言っている。

…というか、「教えたいことを教えている」って感じですかね。この曲から4曲目の「サングラス」まで、弱い曲や優しい曲が続くので、最初にガツンとかましとくよ、私はこんなこと思ってるんだよ、なんか腑に落ちるとこあるでしょ?参考にしてね…て感じのイメージでしょうかw

 

*イントロからのイエーーーーー

何回も何十回も聴いてるのに、ここでいつもワクワクしてしまいます。ラストでシャウトが落ちていくとこ(伝わるかな?)すごいキュンとする。

 

*「廻らないタイヤ」「矛盾屋」「迷わないなんて無理」「愛情向かって左に欠乏」「リスクがあるからこそ」「どこか遠くへ逃げたら逃げたら楽になるのかな、そんなわけないよね、どこにいたって私は私なんだから」

↑頭を空にして聴いてもやっぱり残るフレーズ。PVでもマシンみたいな乗りものが出てきた記憶がありますが、駆けてる感覚がある歌なので、いくつか印象的なフレーズがありつつもぼーっとしてたらすぐ過ぎちゃいます。

一番はキミを引っ張ってあげるほど力有り余ってるよ!みたいな感じなのに、二番になると充電切れて「君」が必要になってくるし、じつは力を欲してるのがいい。「冷たい態度で自分を守ってるつもりなの?」は自分自身にいってるんじゃない?と思えてなりません…

 

hey!hey!からの変貌

「私なんだから~」で終わるか、そのあとにサビを繰り返して終わるかだったら、この曲の良さは半減する気がします。やはり最初のyeah~!という叫びと最後のhey!hey!があるからこそ、この曲はすばらしく、そして独自性をもつ。「キーが高すぎるなら」というのは①heyheyのキーが単純に高いのと、②「私」の勢いが強すぎるなら下げるから、一緒に行こうぜ!(もしくはひとりだと嫌)

…という意味があるんじゃないでしょうか。

悩んでるのは果たして「君」なのか、はたまた自分なのか。そのどちらでもあるのかな?と思わせる、この感じがいいですね。

「大きすぎるブレスレット」はすごい。それまでずっと向こう側にいるふたりの歌だなーと傍観していたら、急に身に着けるアクセサリーが出てきたので、否応なく聴いている私自身にすっぽりはまって通り抜けました。

 

2.Can You Keep A Secret?

かっこいい歌です。そしてかわいくもあります。

特にそれ以外感想が。。。笑 ヒットするやろうなというイメジ。

歌詞というより、歌い方が印象に残りますね。

 

3.DISTANCE

きました!表題曲です。

「Distance」でバラード風の「FINAL DISTANCE」がありますが、あの曲も色んな意味ですばらしいんですが(あっちの方が人気ありそうな感じもある)私はこっち派です。

結構深いことを言っている、泣ける曲ですよね。だからこそ、本来はFINAL DISTANCE」もっと「ゆっくり」すべきなのかもしれない。けれど、あえてカワイイ転がるような伴奏に乗せて歌っているところが、むしろ宇多田ヒカルならではのせつなさが感じられて、いい。

私はこの曲を聴くたび、泣き終わったあとの、切なくもスッキリとしたあの感覚を思い出します。

何か抜けたような、あの気持ち。

「Can You Keep A Secret?」が「君」との激しい『パニック』だとするならば、この曲「DISTANCE」君との暗く、静かな、それでいて前曲よりも不可逆的で深刻な、ある『事件』

そのような印象を受けます。

 

*「無口」「~のに~ない」「途切れないように~~(ここらへん、韻踏んでて心地いいな~、耳)」「してみてもいいよ」「ひとつにはなれない」「やっぱり I wanna be with you now」「We should stay together」

 

耳に残ったフレーズです。「Wait&See」とは曲調がぜんぜん違うけど,これもあまりフレーズを刻み付けるような歌い方してないので、まあこんなかんじです。

英語がよく出てきますが、宇多田ヒカルの発音がとてもメロディーとマッチして美麗なので、もう耳が気持ちいい、曲のみでいうとそれに尽きますね。

 

この曲でかなり確信ですね。

「君(you)」の存在ですよ。

たしかに宇多田ヒカルはすごい。あっ、宇多田ヒカルというか、このアルバムに出てくる「私」はすごい。賢いし、外国語わかるし、そして強い。

…でも、自分一人で生きてたら遭いそうにもない困難に遭うと分かっていて、それでも私は君と一緒にいる《べきだ》って歌っちゃう。1曲目から私にとっての「君」の存在の重さの片鱗はちょいちょい見え隠れしているが、この作品はとくにそれがわかる。

ひとつになろうと水の中でもがくけど、ひとつには、勿論なれないんですよね

ひとつにならなくていいって、最早ミスチルはそう言ってますしね(「掌」だいすこ)

 

「ひとつ」といえば、最近プラトンの「饗宴」をパラ読みしたんですが(後でじっくり読むけどまずはパラ読みせんと精神がもたないときってないですか?笑)、その中でも「私たちは元来男男や男女や…でセットで、その片割れを追い求めてるんだ、それが恋人なんだ」って言ってた人がいました。ディオティマ(またの名をプラトン)はそう思ってないみたいですがw

いや、ロマンチックでいいじゃんね。

やっぱりみんな昔から考え続けてる永遠の謎は、どこかでリンクしてるんですね。